病院以外の道にも興味はある。ただ、転職そのものが初めてで、何から手をつければいいのか分からない。周りに企業へ転職した先輩もいない。そんな状態のまま、求人サイトを眺めるだけの日が続いていませんか?

結論から言うと、初めての転職でも順番どおりに準備すれば、企業転職は実現できます

そこでこの記事では、動き出す時期、準備、求人の探し方、書類、面接まで、企業転職の流れを順番に解説します。あなたが今どの段階にいても、次にやることが見えるようにまとめました。

初めての転職はいつ始める?企業転職に適した時期と必要な期間

企業転職は、今の病院で働きながら始めるのが基本です。まずは、どのくらいの期間を見込めばよいかを押さえておきましょう。

情報収集から入社まで2〜6ヶ月が目安

情報収集を始めてから入社するまでは、2〜6ヶ月かかると考えてください。病院への転職なら1〜2ヶ月で決まることもありますが、企業は選考の回数が多くなります。同じ感覚で動くと、スケジュールが崩れてしまいます。

内訳はおおよそ次のとおりです。

・準備(転職理由の整理、条件の洗い出し、書類作成):1~2週間
・応募と選考(書類選考、面接2〜3回):1〜3ヶ月
・内定から退職、入職まで:1〜3ヶ月

「4月から企業で働きたい」と考えるなら、逆算して前年の10月〜12月には動き始める計算になります。

経験年数は3年が目安|1〜2年目もポテンシャル採用あり

企業が看護師を採用するときの目安は、臨床経験3年です。3年目前後は、一人で判断して動ける、後輩に教えた経験がある、複数の科や処置を経験している、という条件がそろいやすい時期だからです。

企業で看護師経験が求められる仕事の多くには、医療の知識を使って「誰かに説明する」「判断する」場面があります。医療機器の使い方を医師や看護師に説明する、治験に参加する患者さんの状態について医師と相談する、といった場面です。そこで求められるのが、現場で一通りの経験を積んでいることです。

とはいえ近年は、1〜2年目でもポテンシャル採用を行う企業が増えています。一方で、年齢を重ねるほど求人の幅は狭まります。興味があるなら、早めに動き出すことをおすすめします。

関連記事:転職のおすすめ時期はいつ?後悔しないベストなタイミングを徹底解説

初めての転職で最初にやる4つの準備

初めての転職で最初にやる4つの準備

企業転職に向けた準備について解説します。

転職理由を考える

まず整理したいのが転職理由です。転職を考えるきっかけは、たいてい「辞めたい理由」から始まります。夜勤がつらい、人間関係に疲れた、命を預かる緊張から解放されたい。これらは自然な感情で、否定する必要はありません。

ただし、そのままでは書類にも面接にも使えません。企業が知りたいのは「なぜ辞めたいか」と同時に「うちに来て何をしたいか」だからです。そこで、辞めたい理由を「実現したいこと」の形に言い換えます。

言い換えの例を挙げます。

・夜勤がつらい→生活リズムを整えて、長く働き続けられる環境で力を発揮したい
・人間関係に疲れた→チームで目標を共有しながら働ける職場に移りたい
・目の前の処置に追われる毎日を変えたい→病気になる前の段階から人の健康に関わりたい

ポイントは、今までやってきたこと、転職理由、志望動機が1本のストーリーでつながっていることです。

意向と特性を理解する

キャリアプランややりがいなど、あなた自身の意向と特性を踏まえ、どういった仕事をしたいのか考えましょう。

意向:将来はマーケティングのプロになりたい、医療営業を極めたい
特性:こつこつ頑張るタイプ、外回りが好き、チームワーク重視

仕事で長続きするには、これから話す条件よりも自分の意向と特性に合った会社に入ることが近道です。なのでしっかり自身の意向と特性を見極めましょう。

譲れない条件と妥協できる条件を分けて優先順位をつける

転職がうまくいかない人ほど、条件をぼんやりと「全部良くしたい」と考えたまま動きがちです。すべてが今より良くなる求人はほとんどありません。だからこそ、条件を「譲れないもの」と「妥協できるもの」に分ける必要があります。

まず、思いつく条件をすべて書き出します。

・年収(下限はいくらか)
・勤務地(通勤時間の上限、転勤の可否)
・勤務時間(土日休み、残業の上限)
・出張の有無と頻度
・仕事内容(人と関わる仕事か、事務中心か)
・雇用形態(正社員か契約社員か)
・会社の規模や安定性

次に、その中から「これが満たされないなら転職しない」というものを2つか3つだけ選びます。残りは「できれば」の条件として順位をつけます。

ここまで決めておくと、求人を見たときに迷う時間が減ります。面接で条件を聞かれたときも、はっきり答えられるようになります。

自分の臨床経験が企業でどう評価されるか年収相場を確認する

条件を決めるとき、避けて通れないのが年収の相場です。自分の経験が企業でどのくらいの年収に評価されるのかを知らないまま「今と同じ年収」を譲れない条件にすると、応募できる求人がなくなってしまいます。

看護師が企業に転職した場合、初年度の年収は450万〜600万円前後が1つの目安です。病院で夜勤ありの年収が高かった看護師にとっては、夜勤手当がなくなるため年収が下がる可能性があります。しかし、基本給で比べると、病院より企業のほうが高いケースも少なくありません。

相場は職種によって違います。治験コーディネーターや産業看護師は、経験3年前後なら初年度の年収が450万〜500万円になるケースが多い傾向です。医療機器メーカーのフィールドナースや営業職では、 初年度でも500〜650万円になる方もいます。

相場を確認する方法は3つあります。

・転職サイトで職種名を検索し、複数の求人票の年収欄を見比べる
・転職エージェントに「自分の経験でどのくらいの求人があるか」を聞く
・同じ職種に転職した人の体験談を読む

大切なのは、目先の年収だけで判断しないことです。企業は昇給や賞与によって数年後に病院を上回ることもあります。「初年度はいくらか」「3年後にいくらになりそうか」の両方を確かめてから、譲れない年収の下限を決めてください。

企業の求人はどこで探す?

企業の求人はどこで探す?

「看護師向けの求人サイトで探せば見つかる」と思われがちですが、企業求人に関しては事情が異なります。

企業求人は非公開のケースも多い

企業の求人は看護師向けの求人サイトにはほとんど出てきません。

企業求人が表に出にくい理由は2つあります。1つは、採用人数が少ないことです。病院のように毎年何十人も採用するわけではなく、1つの部署につき1〜2人の募集がほとんどです。

もう1つは、募集内容から企業秘密が推測されるリスクを避けたいからです。 そのため転職エージェントに依頼して条件に合う人だけを紹介してもらう非公開求人の形で採用を進めます。

つまり、企業転職を目指すなら非公開求人を扱う転職エージェントの活用が近道になります。

産業看護師・治験コーディネーター・フィールドナースなど職種名で探す

企業求人を探すときのポイントは、検索サイトで職種名で検索することです。

看護師の経験を活かせる主な職種を挙げます。

産業看護師(企業の健康管理室で社員の健康管理をする)
治験コーディネーター(CRC:治験がスムーズに進むよう患者さんや医師を支える)
臨床開発モニター(CRA:治験が正しく行われているか病院を訪問して確認する)
MR(医療情報担当者:製薬会社等に勤務し医薬品の情報を医師などに届ける)
フィールドナース(医療機器メーカーで製品の使い方を医療機関に説明する)
クリニカルスペシャリスト(医療機器や医薬品の専門知識で営業を支援する)

これらの職種名で検索すると、企業の求人にたどり着けます。求人票の応募条件に「看護師資格」「臨床経験3年以上」と書かれていれば、あなたが対象です。

直接応募・転職サイト・エージェントの使い分け方

企業に応募する方法は、大きく3つあります。

直接応募は、企業の採用ページから自分で応募する方法です。「この会社で働きたい」と決まっている場合に向いています。誰かを介さないので熱意は伝わりやすい一方、書類や面接の対策はすべて自分でやることになります。

転職サイトは、一般向けの総合転職サイトで職種名を検索して応募する方法です。公開されている求人を自分のペースで比べられます。ただし企業求人は非公開が多いため、見られる求人は全体の一部にとどまります。

転職エージェントは、担当者が求人を紹介し、書類の添削や面接の日程調整まで代わりに行う方法です。応募先ごとの選考対策まで任せられるのが最大の強みです。初めての転職で「何が分からないかも分からない」状態なら、この方法が最も安心できます。

初めてでも通過できる履歴書・職務経歴書の書き方

初めてでも通過できる履歴書

企業への応募では、履歴書に加えて職務経歴書が求められます。

ちなみに職務経歴書は、A4用紙1〜2枚に、これまでの仕事の内容と成果をまとめた書類です。

書き方に決まった型はなく、自由に書けるからこそ差がつきます。初めて書く人は、まず自分の経験を時系列ですべて書き出してください。そのうえで、応募先の企業に関係のある部分だけを残していくと、まとまりやすくなります。

履歴書や職務経歴書の書き方については以下の記事を参考にしてください。

🔗看護師向け履歴書の書き方|職歴・自己PRの例文つき完全ガイド
🔗【サンプルあり】看護師の企業転職|職務経歴書の書き方と自己PRのコツを解説!

企業面接で聞かれることと答え方

企業面接で聞かれることと答え方

面接室に入って最初に聞かれるのは、たいてい「なぜ看護師を辞めるのですか」です。

なぜ看護師を辞めて企業で働きたいのか

この質問で面接官が確かめたいのは、「病院から逃げてきただけではないか」「うちに入ってもすぐ辞めないか」の2点です。答えで大切なのは、将来的に企業でやりたいことに時間を使うことです。

答え方の例を挙げます。

「看護師として5年働く中で、目の前の患者さんを看ることにはやりがいを感じてきました。一方で、病気になった後にしか関われないことに限界も感じるようになりました。より多くの人に、病気になる前の段階から関わりたいと考え、企業への転職を決めました。」

避けたいのは、病院への不満を並べることです。夜勤がつらい、人間関係が悪い、給料が上がらない。事実であっても、面接官は「不満があればまた辞める人」と受け取りかねません。準備の段階で整理した「実現したいこと」の形に言い換え、前向きな言葉で伝えてください。

もう1つ大切なのが、看護師の仕事を否定しないことです。「看護師は向いていなかった」と言うと、経験そのものの価値が下がって聞こえます。看護師として得たものを認めたうえで、次の段階に進みたいという流れで話しましょう。

未経験の仕事にどう適応していくつもりか

企業の面接では「パソコンは使えますか」「ビジネスマナーの経験はありますか」「営業のような仕事は未経験ですよね」といった質問が出ます。

ここで面接官が知りたいのは、スキルの有無そのものではありません。未経験の状況に置かれたとき、あなたがどう学び、どう追いつくかです。過去に未経験を乗り越えた経験を、具体的に話しましょう。答え方の例を挙げます。

「新人の頃、配属された病棟の処置はほとんど未経験でした。先輩の手順を見て自分でメモにまとめ、翌日に必ず1つは実践するようにして、3ヶ月で一通り任せてもらえるようになりました。企業でも同じように、まず教わったことをすぐに実践しながら覚えていくつもりです。」

さらに、すでに準備を始めていることを伝えると説得力が増します。「エクセルの基本操作を独学で練習しています」といった小さな行動で十分です。準備を始めている事実が、「本気で企業に来るつもりだ」という証拠になります。

初めての転職だからこそ企業求人に詳しいプロと一緒に進めよう

ここまで読んで、企業転職の全体像が見えてきたのではないでしょうか。

とはいえ、ここまでの流れを一人でやり切るのは簡単ではありません。周りに経験者がいなければ、正解が分からないまま手探りで進めることになります。

弊社シングルユニティは、看護師の企業転職をサポートしています。非公開の企業求人の紹介はもちろん、あなたの臨床経験がどの職種でどう評価されるかの見立て、職務経歴書の添削、企業ごとの面接対策まで、一緒に進めていきます。

「企業に興味はあるけれど、まだ転職すると決めたわけではない」という段階でも大丈夫です。まずは、あなたの経験でどんな求人があるのかを知ることから始めてみませんか。

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