「募集をかけても人が集まらない。介護の現場が回らない」。そう感じながらも、外国人の受け入れには手続きが複雑そうで、なかなか踏み出せない。
介護事業を営む企業の方から、こうした本音をよく伺います。気になるのは、何から始めればよいのか、費用はいくらかかるのか、せっかく採用してもすぐ辞めてしまわないか、といった点ではないでしょうか。
当記事では、介護で外国人を受け入れるために必要な手続きと費用を、専門的な制度をかみ砕きながら順を追って整理します。読み終えるころには、「これなら進められそうだ」と感じていただけるはずです。

介護の人手不足を外国人材で解決したい!

高齢化が進む一方で、介護を担う人の確保はますます難しくなっています。
介護人材不足の現状と外国人材が担う役割
介護職の有効求人倍率は他業種より高い水準が続き、日本人だけで必要な人数を採用しきるのは年々厳しくなりました。求人広告費をかけても応募が来ず、既存スタッフの負担が膨らむ。多くの現場が同じ悩みを抱えています。
こうした状況で、外国人材は夜勤を含むシフトを支える即戦力として期待されています。何年も働き続けるチームの一員として定着する例も増えてきました。
受け入れ時における在留資格の違い
介護で外国人を雇うには、就労を認める在留資格(働くための資格・いわゆる就労ビザ)が必要です。介護分野でよく使われるのは、次の3つです。
・特定技能:人手不足が深刻な分野で、一定の技能と日本語力を満たした人を受け入れる在留資格。即戦力として働いてもらえます。
・在留資格「介護」:介護福祉士の資格を取得した人が対象。長期的に働いてもらえる道です。
・EPA:国どうしの経済連携協定にもとづく受け入れ。対象国や枠が限られます。
このうち、即戦力をスピーディーに迎えたい企業にとって現実的な入り口になるのが「特定技能」です。すでに介護の知識と日本語の基礎を持った人を採用でき、最初から戦力として計算しやすいためです。
ただし介護分野の対象範囲や条件は見直されることがあります。自社のケースで使える資格は、最新情報や専門家への確認をおすすめします。
介護で外国人に任せられる業務

では、どのような業務を外国人に任せられるのでしょうか?
結論から言えば、特定技能の介護人材には、食事・入浴・排せつの介助といった身体介護を中心に、レクリエーションや記録など幅広い業務を任せられます。日本人職員と同じように現場の中心で働いてもらえます。
ただし、訪問系のサービスなど、提供形態によっては任せられる業務に条件がつく場合があります。自社のサービス種別で何を担当してもらえるかは、事前に確認しておくと安心です。
特定技能外国人の受け入れにおける流れ

では、実際の受け入れは、どんな順番で進むのでしょうか。流れを説明します。
① 受け入れ要件の確認と協議会の加入
まず、自社が受け入れ企業としての基準を満たしているかを確認します。労働関係の法令を守っていること、過去に重大な違反がないことなどが問われます。
あわせて、介護分野では所定の協議会(介護分野の受け入れ企業が加入する団体)への加入が必要です。加入のタイミングや細かな要件は変わることがあるため、申請前に最新の手順を確認しておくと手戻りを防げます。
また、手続きはそれほど煩雑ではないため、特定技能外国人の採用が決まったら、できるだけ早めに協議会へ加入することをおすすめします。
② 人材の募集・採用
候補者は、海外にいる人材と、すでに日本に住んでいる人材の両方から探せます。技能試験や日本語試験に合格した人、技能実習を終えて特定技能へ移る人などが対象です。
自社だけで海外の候補者を見つけるのは難しいため、人材紹介会社を活用する企業がほとんどです。候補者探しから面接の調整までを任せられるため、本業の負担を増やさずに採用を進められます。
③ 雇用契約と支援計画の作成
採用が決まったら、日本人と同等以上の待遇で雇用契約を結びます。特定技能1号で受け入れる場合、生活オリエンテーションや日本語学習の機会の提供、困りごとの相談対応などをまとめた「支援計画」を作る義務があります。
自社だけで対応するのは難しいケースが多いので、支援計画の作成や実施は登録支援機関(外国人の生活を支援する、国の登録を受けた機関)に委託するのが一般的です。
④ 在留資格を申請
次に、出入国在留管理庁へ在留資格の申請を行います。海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書の交付申請、すでに国内にいる人なら在留資格の変更申請が中心です。
提出書類は多く、専門的な内容を含みますが、申請の準備や手続きは行政書士など専門家に代行してもらえます。審査には一定の時間がかかるので、就労開始の希望日から逆算し、余裕をもって進めましょう。
⑤ 就労開始後の届出
受け入れたあとも、手続きは終わりではありません。支援の実施状況や雇用契約に関する事項などを、定期的・随時に届け出る必要があります。
登録支援機関に委託していれば、支援にかかわる届出部分は任せられるため、就労後の事務負担を抑えながら適切に運用できます。
登録支援機関について
ここまで何度か登場した登録支援機関とは、外国人の生活サポートを企業に代わって担う、国の登録を受けた機関のことです。日常生活の相談対応、行政手続きの同行、日本語学習の案内など、企業だけでは手が回りにくい支援をまとめて引き受けてくれます。
支援業務をまるごと委託できるため、専任の担当者がいない企業でも受け入れは十分に可能です。選ぶ際は、介護分野での支援実績があるか、母国語で相談に乗れる体制か、自社の地域に近く対応が早いか、といった点を見比べると失敗が少なくなります。
参考記事:登録支援機関とは〜特定技能制度における役割と選び方をわかりやすく解説〜
外国人材を受け入れる費用

受け入れの費用について解説します。
採用にかかる費用の内訳と目安
採用段階でかかる費用は、主に人材紹介の手数料、在留資格の申請にかかる費用、海外から招く場合の渡航費や住まいの初期費用などです。金額は、候補者が国内にいるか海外にいるか、どの紹介会社を使うかによって変わりますが、総額50万円〜80万円が目安です。
就労開始後にかかる費用
働き始めてからは、給与(日本人と同等以上)、社会保険料に加えて、登録支援機関へ支払う支援委託料(1人あたり月2万円〜3万5,000円が相場)、日本語学習のサポート費用などが継続的にかかります。
使える補助金・助成金はある?
外国人材の受け入れや育成、住環境の整備などに使える助成金が、国や自治体に用意されている場合があります。
ただし、対象となる要件や募集時期は変わりやすいため、公的なサイトで最新の情報を確認するのが確実です。受け取れる制度があれば、初期費用の負担を軽くできます。
受け入れのメリットと知っておきたいデメリット

いい面ばかり聞くと、かえって身構えてしまうもの。正直なところを知っておきたいですよね。
メリットは、まず安定した人員を確保できることです。長く働いてもらえる見込みが立ち、夜勤や土日のシフトも組みやすくなります。意欲的に学ぶ人材が多く、職場に活気が生まれたという声もよく聞きます。
一方で、知っておきたい注意点もあります。受け入れ当初は手続きや書類の準備に手間がかかり、日本語や文化のすり合わせにも時間が必要です。
指導役の負担が一時的に増えることもあります。とはいえ、こうした課題の多くは、事前の準備と支援体制を整えることで軽減できます。
長く活躍してもらう育成と定着のコツ

採用はゴールではありません。長く働いてもらえることが大事です。
日本語・介護技術の指導とコミュニケーションの工夫
入職直後は、専門用語より「やさしい日本語」で伝えることを心がけると、意思疎通がスムーズになります。
手順書にふりがなやイラストを添える、最初は先輩がそばで一緒に動くといった工夫も効果的です。
記録の書き方は最初に丁寧にサポートし、定期的な面談で困りごとを早めにすくい上げましょう。やさしい日本語と視覚的な手順書が、技術習得の近道になります。
早期離職を防ぐ職場環境づくりと成功事例
早く辞めてしまう背景には仕事内容、人間関係、条件面の相違はもちろん、生活面の孤立があるケースが少なくありません。住まいや行政手続きのサポート、気軽に相談できる先輩やメンターの存在が、安心して働き続ける土台になります。
たとえば、配属前に現場研修の期間を設け、入職後はメンターが定期的に声をかける仕組みを整えた職場では、本人の不安が和らぎ定着につながったという例があります。
さらに、介護福祉士の資格取得を支援し、在留資格「介護」で長く働く道を示すなど、将来のキャリアの道筋を見せることで定着率は高まります。「ここで成長できる」と感じてもらえる職場づくりが、長期活躍の鍵です。
外国人材の受け入れ方を相談してみよう
ここまで、介護で外国人を受け入れる流れを順番に見てきました。外国人の受け入れは、ポイントを押さえれば決して特別なことではありません。
すべてを自社だけで抱え込む必要はありません。手続きも支援も、登録支援機関など信頼できるパートナーと分担しながら進められます。
弊社シングルユニティでは、人手不足でお困りの介護施設を中心に受け入れ支援を行っています。人手不足や定着でお困りでしたら、まずは下記フォームよりお気軽にご相談ください。
お待ちしております。

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