毎日のようにプレッシャーのかかるノルマや数字の詰め、ギスギスした社内に疲れていませんか?
「もっと顧客のためになる営業がしたい」
「自分の市場価値ってどれくらいなんだろう?」
「チームワークを大事に仕事がしたい」
と考え、転職を視野に入れ始めている方も多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、証券リテール営業の方、そしてホールセールの方に向けて、証券業界からの転職で知っておくべきポイントを、元証券マンの視点から解説していきます。あなたの強みを活かして、より納得のいくキャリアを見つけましょう!
証券会社と他業界の違い

証券会社で働いていると、その働き方が「当たり前」になりがちですが、実は他の業界と比べると、かなり独特な文化や慣習があります。
ノルマや数字の詰めは少ない
「今月、目標まであといくらだ?、なぜできていないんだ!」といった数字の詰めや、毎日・毎週の進捗確認に辟易していませんか?
一般的に、証券業界以外の多くの企業では、証券会社ほど短期的な数字へのプレッシャーは強くありません。もちろん目標設定はありますが、無理な取引をお客様に強いざるを得ないような詰めは一般的な会社では少ない傾向にあります。
顧客志向が一般的
多くの業界では「顧客志向」がビジネスの基本であり、「顧客の利益よりも自身の出世や会社の利益を優先する」という考え方は少ない傾向にあります。
なぜ証券会社は利益相反が起こりやすいのか
利益相反が起きやすい理由として、証券会社等はPO・IPO・債券等の引受けがある以上、お客様にそれらの商品を売り切らないといけない点があり、どうしてもノルマ営業にならざるを得ない点があります。また高頻度の異動がある中で出世競争を勝ち残る必要がある中、回転売買や乗り換え提案を行ってお客様の資産を痛めても、転勤すればお客様との関係も無くなる点が挙げられます。
転職市場における証券出身者の強み

とはいえ証券会社での経験は、想像以上に転職市場で高く評価されています。リテールとホールセールでは身につくスキルは異なるものの、大枠としては以下の通りです。
- 粘り強さと達成意欲: 厳しいノルマの中で目標を追い続けた精神力と実行力
- 高度なコミュニケーション能力: 富裕層や企業の経営層など、幅広いステークホルダーと信頼関係を築く力
- 財務・金融の基礎知識: 金融商品の知識だけでなく、経済や企業財務に関する基本的な理解
- マルチタスク処理能力: 営業活動と事務処理、コンプライアンス順守などを高いレベルで両立する力
短くても2年、できれば3年以上は働いてスキルを身に着けよう
転職市場であなたの能力が評価されるためには、少なくとも2年間、できれば3年間は現職で経験を積み、上記のスキルを「定着」させることが重要です。短期間での転職は「すぐに辞めてしまう人」という印象を与えかねません。3年以上の経験があれば、多くの企業があなたのスキルを即戦力として評価しやすくなります。
証券会社から転職するにあたっての年齢
転職において「年齢の壁」は無視できない要素です。あなたの経験をどのように活かせるかは、年齢によって戦略が変わってきます。
同業界の場合
証券・生保・銀行など、金融業界内での転職であれば、年齢よりも専門性と実績が重視されるため、年齢が高めでも転職はしやすいです。ただ、以下の通り年齢によって面接での評価ポイントは変わります。
- 20代:ポテンシャル採用の余地が大きく、未経験でも専門性の高い部署へのキャリアチェンジがしやすい時期
- 30代:特定分野での高い実績が評価の対象で、年齢を重ねるごとに専門性が求められる
- 40代以降:専門性と同時にマネジメント経験があると転職しやすい
異業種の場合
証券業界出身者の市場価値は高いため、20代までは異業種でも転職はしやすいですが、特に30代半ば以降は自身の専門性を活かせる案件でないと転職は難しいのが現状です。
- 20代:ポテンシャル採用の枠が大きく、コンサルティングファームや事業会社の企画・営業など幅広い選択肢がある
- 30~40代:年齢を重ねる度に異業種のキャリアチェンジは難易度が上がるが、金融の知識を活かせれる部署であれば転職可
リテール・ホールセールで転職先はやや異なる

リテール営業とホールセール営業では、培われるスキルセットが異なるため、適した転職先にも違いが出てきます。
リテール営業の転職先
以下の通り、富裕層や中小企業の経営者を相手に培ったコミュニケーション能力や提案力を活かせる分野が人気です。
- IFA(独立系金融アドバイザー): 顧客本位の営業を追求したい方に人気のある選択肢
- M&A仲介:オーナー経営者との折衝経験が活かしやすい
- 生命保険・損害保険営業:金融知識と提案力が活かしやすい
- 医療・SaaSなど営業:顧客との関係構築能力や数字へのコミットメント力が評価される。
- 人材紹介エージェント:無形商材の提案で培った営業力が活かせる
しかし、20代であればポテンシャル採用でコンサルティングファームなどにも転職はしやすいのも現状です。
ホールセールの転職先
機関投資家や事業法人相手に培った高い専門性や交渉力、市場分析力が以下の企業等で活かせれます。
- アセットマネジメント:運用やプロダクト企画などの経験を活かしやすい
- 事業会社の財務部門:企業分析や財務の知識が活かせれる
- コンサルティングファーム:課題解決能力や分析力が評価される
- フィンテック企業:金融知識を活かしたサービス開発などで勝負できる可能性も
- 投資ファンド:企業分析や財務の知識はもちろん投資の目利きが活かせる
会社の規模感は転職市場に関わるのか
結論から言うと所属企業の規模感について少し影響はあり、「大手の厳しい研修や環境を経験した」というだけで、一種のブランド力として有利に働くことがあります。
一方、準大手〜地場証券出身者は、少数精鋭の中で培った幅広い業務経験や会社のブランドに頼らない仕事力が評価されます。特にベンチャー企業に行く場合では、大手に比べて「何でもできる人材」が重宝されます。
とはいえ、本当に大事なのは会社の規模感ではなく、その会社で自分がどのような成果を出し、どのようなスキルを身につけたかを、具体的に説明できることです。
その説明がしっかりできれば大手未満に所属の求職者も転職に成功する可能性が大いにあります。
失敗しない転職にするには
「上司に詰められ続けるだけの環境を変えたい」というネガティブな理由だけでなく、「新しい環境で何を成し遂げたいか」というポジティブな動機を持つことが、転職を成功させる鍵です。
自身の意向と特性を確認
そこでまずは立ち止まって、自己分析(意向と特性を確認)を徹底的に行いましょう。
- 現職で何が懸念点なのか(ノルマ、人間関係、商品に魅力を感じないことなど)
- 仕事で最も楽しかった瞬間は何か(顧客の笑顔、分析が当たったこと、チームで目標達成したことなど)
- 5年~10年後にどんな働き方をしたいか?(専門家、マネージャー、プライベートを重視したいかなど)
意向と特性から外れた会社に転職してしまうと『こんなはずではなかった』と後悔のもとになり、早期離職につながってしまいます。
また、『現職で上司に詰められている、営業目標の達成が厳しい』などの理由で焦って転職活動をしてしまうと、自身の意向と特性を忘れてしまうのでご法度です。
上司に詰められても、営業目標の達成が厳しくても命までは取られないので、落ち着いて転職活動を行いましょう。
業界・企業・部署特有の働き方を知る
華やかなイメージ・給料の良し悪し・勤務地だけで転職先を決めるのは危険です。業界や企業が変われば動き方も変わりますし、会社が合併&買収を繰り返していれば、部署単位でカルチャーが異なったります。
そこで、転職エージェントやOB・OGを通じて、その業界や企業のリアルな働き方、自身が働くであろう部署のカルチャーをしっかり把握することが、ミスマッチを防ぐ方法です。
まとめ
日々のノルマや複雑な人間関係に追われ気づきづらいですが、証券会社での経験はあなたが思っている以上に市場価値が高いです。厳しい環境で身につけた実行力と金融知識は、必ずあなたの次のキャリアを拓く武器になります。
そして大切なのは、「今の不満から逃げる転職」ではなく、「未来の自分を実現するための転職」をすることです。自分の強みはもちろん、意向や特性を正しく理解し、次のステージを選びましょう。
なお、弊社では代表をはじめ証券出身者がエージェントとして在籍しており、あなたに寄り添ったサポートが可能です。IFAへ転職を考えているという方は以下のフォームより遠慮なくお問い合わせください。


