近年、人手不足を背景に特定技能外国人の受け入れが進んでいます。彼らは企業にとって貴重な戦力ですが、文化や習慣の違い、情報不足から予期せぬトラブルが発生することも少なくありません。

トラブルを未然に防ぎ、特定技能外国人が安心して長く働ける環境を作ることは、企業側の責務であり、事業の安定にも繋がります。

本記事では、よくあるトラブル事例とその解決策、特に企業が取るべき具体的な対応策を解説します。

特定技能外国人のトラブル事例と解決策

特定技能外国人のトラブル事例と解決策

特定技能外国人が直面しやすい問題を知り、相互理解を深めることで、問題発生を未然に防ぎましょう。

部屋を汚す

住居における生活習慣の違いから、部屋を汚してしまったりコバエが出たりする場合があります。当然ですが部屋を綺麗にすることに関し、相手も言えばしっかり理解はしてくれるので、定期的な声かけを行い、部屋を清潔に保つ方法を伝えましょう。

給料や待遇で会社と揉める

最もデリケートで深刻なトラブルになりやすいのが、給与や労働条件に関する問題です。「聞いていた話と違う」という認識のズレは、不信感を生み最悪の場合、離職にも繋がります。特定技能外国人のほとんどは、本国の家族に仕送りがあるためお金に対してはシビアです。入社前の条件提示と異なることがないよう、最大限に注意を払ってください。

給与明細の見方はしっかり説明しよう

日本の給与体系は、税金や社会保険料などの控除があり、母国の仕組みと大きく異なる場合があります。そのため、基本給、残業代、控除額、手取り額など明細書の詳細な説明を、時間をかけて説明してあげるとよいです。

お互いの給与を見せ合うことは知っておく

日本では給与額は個人的な情報として他人に教えないのが一般的ですが、外国人の間ではお互いの給与額を共有することもしばしばです。これにより、「自分だけ給与が少ないのではないか」といった不公平感からトラブルに発展するケースがあります。

そのため、会社個々における賃金の考え方や、給与は個々のスキルや経験によって異なる、残業によって残業代の大小があるなどを伝えるのとあわせ、他人の給与を尋ねたり教えたりすることは日本では一般的ではないことを伝えます。

食文化の違いが小さな摩擦を生むことも

宗教上の理由や個人の慣習から、食生活が日本人と大きく異なる場合があります。共同生活をする寮や休憩室での匂い調理器具の使い方の違いが、日本人従業員や他の外国人との間で摩擦を生むことがあります。

日本人にとって美味しいと思う日本食も、外国人にとって口に合わないこともあるでしょう。

そのため、社内でも宗教上の配慮について理解を促す研修を行ったり、寮での調理器具は個々人で分けるよう促すことも大事です。また、外国人に対しても日本食の理解を促すよう働きかけることも、長く日本で生活をするにあたって大事な働きかけです。

コンビニやスーパーなど生活インフラから遠い場所に住まわせる

特に地方で外国人を雇用する場合、住居が公共交通機関や生活に必要な施設から離れていると、日常生活に大きな不便とストレスを感じることになります。特定技能外国人には、日本人が通常生活を送る上で不便のない場所に住居を提供する配慮が求められます。

義理人情に背く

多くの外国人労働者は、日本で働く機会を与えてくれた企業に対し、感謝の念を持っています。海外の方々も義理人情を大事にしている中、嘘をついたり雑に扱ったりするのは離職の大きな原因になります。

労働条件や業務内容の遵守はもちろんですが、人として約束を守る、相手を大事にする倫理観の向上を徹底するようにしましょう。

特に企業が取るべき対応策

特に企業が取るべき対応策

トラブルを防止し、外国人に長く活躍してもらうために、企業側が積極的に行動すべき重要な対応策があります。

入社前に条件はきっちり明記と説明をする

「言った」「聞いていない」の認識の齟齬はトラブルの最大の原因です。入社前の事前ガイダンスで、すべての条件を明確かつ丁寧に説明し、書面で残すことが不可欠です。条件について口頭でのやり取りや曖昧な返事は避けるようにしましょう。

・雇用契約書:労働時間、賃金、休日、残業の有無と計算方法など、すべての条件を母国語で分かりやすく明記します。
・生活環境:住居の費用、ルール、周辺環境など、生活に関する情報も事前に提供し、期待値の調整を行うことも大事です。

残業代はしっかり払う

残業代はしっかり計算し、法令に基づき正確に支払うことが絶対条件です。タイムカードなどを活用し、勤怠管理を徹底し、正確な労働時間をもとに支払いましょう。
残業代の未払いはもちろん、計算ミスも場合によっては信頼を失うことになるので注意が必要です。

地方の場合は事前に生活環境のデメリットもしっかり説明する

地方特有の生活の不便さ(公共交通機関が少ない、スーパーが遠い、外国人向けの店がないなど)は、外国人にとって大きなストレスになる可能性があります。そのため、面接などでは「車がないと不便な地域である」「冬は雪が多い」など、具体的なデメリットがあるなら、事前に正直に説明し、納得の上で働いてくれる人を採用しましょう。

まとめ

特定技能外国人の雇用は、単なる労働力の確保ではなく、異文化を持つ社員を受け入れ、共に働くという企業の変革でもあります。

トラブルを未然に防ぐためには、企業側の事前の丁寧な説明法令の遵守、そして何より相互理解に基づいた日々の密なコミュニケーションが不可欠です。

そこで、登録支援機関である私たちは、企業様と特定技能外国人の双方が安心して活動できる環境づくりをサポートします。特定技能外国人の受け入れや支援に関してご不明な点、お困りの点がございましたら、いつでもご相談ください。

御社の事業成功と、特定技能外国人の活躍を心よりお祈り申し上げます。